糖尿病網膜症
糖尿病網膜症
当院で対応可能な検査・処置・レーザー・手術
眼底検査、眼底造影検査、網膜光凝固術(レーザー)、抗VEGF薬硝子体注射、硝子体手術(病状により)
糖尿病、糖尿病網膜症について
近年、生活習慣の変化により糖尿病患者数は増えています。
2003年の厚生労働省の調査では糖尿病の可能性がある人まで含めれば成人の約6人に1人まで増えているということです。
糖尿病網膜症は糖尿病による高血糖と代謝異常により網膜の血管が損なわれる病気です。糖尿病患者の30~50%に発症し、腎症、神経症とともに糖尿病の三大合併症の一つです。糖尿病自体に自覚症状が早期には出ないのと同じように、網膜症においてもかなり進行するまで視力低下などの自覚症状は乏しく、視力低下を感じた時は非常に重症な状態であることが多く、成人中途失明の主要な原因となっています。
このような方は注意してください。
- 食事制限の不十分な方
- 内科や眼科への通院をたびたび中断する方
- 眼科の検診を受けない方
- 血糖コントロール不良な期間が長い方
- 見えるから大丈夫と判断している方
糖尿病網膜症(病期と症状、定期受診の目安)
- 網膜症のない時期・・・・・・半年から1年に1回程度の眼科受診
眼底に表面的には異常を認めない時期で、内科での血糖コントロール(#1)が重要です。この時期から眼科受診を継続されることにより早期に網膜症を発見でき深刻な状態に陥ることを防げます。 - 初期(単純型網膜症)・・3ヶ月に1回程度の眼科受診
軽度の眼底出血が認められますが、自覚症状はありません。内科での血糖コントロールが重要です。 - 中期(増殖前網膜症)・・数週~3ヶ月に1回程度の眼科受診
眼底出血および白斑(網膜の虚血)が認められ、視力低下を感じることもありますが、自覚症状がないことが多いです。この時期には内科での血糖コントロールがよくても、晩期(増殖網膜症)へ増悪する可能性もあり、眼底の造影検査(#2)をした上で失明予防のため網膜光凝固術(レーザー)(#3)を行う必要があります。 - 晩期(増殖網膜症)・・・・数週から1ヶ月に1回程度の眼科受診
新生血管の発生により硝子体出血、牽引性網膜剥離、血管新生緑内障などといいった放置されれば失明の可能性の高い重篤な併発症が起こります。自覚的には視力低下や霧視、飛蚊症を感じます。まれに自覚症状がなく視力が良好な場合があり注意が必要です。失明予防のため網膜光凝固術(レーザー)を行う必要がありますが、硝子体出血、牽引性網膜剥離のため網膜光凝固術が行えない場合は硝子体手術(#4)が必要となります。
糖尿病網膜症(治療)
当院で対応可能な検査・手術
#1 蛍光眼底造影
糖尿病網膜症の病状を的確に判断するための造影検査で、これをもとに適切な時期に必要な範囲に網膜光凝固術(レーザー)をおこないます。
眼底写真(増殖糖尿病網膜症) 新生血管より硝子体出血(※※)
蛍光眼底造影(左眼底写真と同じ症例) 血管閉塞(※)と新生血管(▽)
#2 網膜光凝固術(レーザー)
失明の原因となる新生血管の発生予防や、すでに発生している新生血管の消退には、網膜の虚血部分への網膜光凝固術(レーザー)が唯一有効な治療手段となります。
未治療
出血、白斑(網膜の虚血)が散在
レーザー後
出血、白斑(網膜の虚血)が減少
#3 硝子体手術
近年の硝子体手術のめざましい進歩により糖尿病網膜症により失明される方が減ってきています。全身状態が良好な方で入院手術、他院への通院が困難な方に関しましては病状に応じて当院にて日帰りで硝子体手術を行います。
未治療(硝子体出血)
硝子体出血により眼底が見えない
硝子体手術後1週間
手術にて出血を除去し術中にレーザー施行
#4 抗VEGF薬硝子体注射(糖尿病黄斑浮腫に対する治療)
糖尿病黄斑浮腫は、網膜内の毛細血管から血液成分が漏れ出すのを促すVEGFという物質によって引き起こされます。このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することで血管成分の漏れを抑制する治療法です。