緑内障
緑内障
緑内障は視神経が何らかの原因により障害を受け、視野が障害される病気です。2000年の疫学調査では40歳以上の17人に1人が罹患していて、現在は中途失明原因の1位という結果が報告されているにもかかわらず、実際には緑内障の8割の方は眼科を受診されていません。
なぜなら緑内障は通常はゆっくりと進行するため初期もしくは中期あたりまでは自覚症状に乏しく発見されにくいことと、もうひとつは緑内障と診断され点眼加療をしていても進行がゆっくりであるため点眼加療の有効性もしくは眼科受診の意味をほとんど実感できないことにより眼科受診を途中中断されてしまう方が多いからなのです。
緑内障の視野障害のイメージ
実際には目の動きや両目で見るためかなり進行するまで気付かないことが多いようすです。
分類
開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)
緑内障のうち8割はこのタイプで、初期もしくは中期あたりまでは自覚症状に乏しく発見されにくいことと、もうひとつは緑内障と診断され点眼加療をしていても進行がゆっくりであるため点眼加療の有効性もしくは眼科受診の意味をほとんど実感できない、なのに自覚されるほどに進行した視野障害は改善できないという問題点があります。
閉塞隅角緑内障・原発閉塞隅角症(いわゆる急性緑内障発作も含む)
急性発作を起こした場合には、著しい眼圧の上昇により急激な眼痛、頭痛、充血、視力低下を自覚し、適切な処置がなされなければ重篤な視野・視力障害を残してしまいます。中高年の遠視(お若い頃に視力がいい)の女性の方に生じやすい傾向があります。
検査
視力検査、眼底検査、眼圧検査、視野検査等より総合的に診断致します。日本では60%前後が正常眼圧緑内障であるため、スクリーニングとして重要なのは眼底検査であって、眼圧検査ではありません。
視神経乳頭陥凹の拡大(※1)
神経線維層欠損(※2)
※黒い部分が視野欠損
※眼底写真の所見に一致(上下逆)
早期発見のために
最近ではOCT検査(網膜の断層撮影)という患者様にストレスのない数分の画像撮影検査により視野検査では異常のでない極早期の緑内障を発見することが可能となってきております。極めて有用な検査機器が様々なメーカーから販売されていますが、当院ではその中でも特に極早期の変化や大事な網膜の中心部分の変化を捉えることが得意なニデック社のものを準備いたしております。
治療
開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)
緑内障性視野障害の進行予防に関しては、眼圧を下げることが基本となります。眼圧を下げる方法として、点眼薬・内服薬による薬物加療、レーザー、手術といった手段があります。残念ながら緑内障は手術をしたからといって障害された視野を改善できるわけではありません。無治療時の眼圧(ベースライン眼圧)に対してどの程度まで眼圧を下げる必要があるか(目標眼圧)が病期や年齢等により違います。目標眼圧までさげられない場合にレーザー、手術といった方法が必要となります。眼圧を下げる手段として最も安全で、持続的に安定した眼圧下降効果が得られる点眼薬(1日1~2回の点眼薬を1~3種類程度)による薬物加療が中心となっております。
閉塞隅角緑内障・原発閉塞隅角症(いわゆる急性緑内障発作も含む)
急性緑内障発作の予防もしくは解除が必要で、眼の状態により、【1】点眼・内服・点滴、【2】レーザー【3】白内障手術(緑内障ですが白内障手術が有効なこともあります)などが選択されます。
通院
緑内障と診断された場合には月に1回程度の診察と1年に2~3回の視野検査が基本となります。自覚的には進行がゆっくりであるため点眼加療の有効性もしくは定期受診の意味をほとんど実感できないのですが、継続的に通院していただくことによりご自身では自覚できない病状の進行を速やかに捉えることができ加療に反映することができます。長い目でみて頂きますと定期受診は大変意味のあるものとなってきます。
セカンドオピニオン
緑内障の方の眼科受診は基本的には一生涯の間必要となります。緑内障の診断、治療方針等につき他院(他の医師)の診察も受けてみたいと思われましたらご遠慮なくお申し付けください。ご希望の病院がありましたら(なければこちらからご紹介いたします)そちらあてに紹介状をお書き致します。診断、治療方針が確定いたしましたら定期受診に関しましては通院の便や時間的制約もあると思いますので、ご希望あれば当院でさせていただきます。